今日から スワミ・シヴァーナンダの著作を新たに連載すると
同時進行で
クリヤヨガ のセミナーに向けた連載を開始します。
明日には 具体的なテクニックを連載しましょう。
ただ多くの方は 誤解しているのですが
クリヤヨガ はロケットに例えるなら
燃料エンジンのようなものです。
それに比べて「道徳的成長」はロケットの本体だけではなく
頭脳であるコンピューター
そして水素燃料のようなものです。
方向を決める翼のようなものです。
ですから クンダリニーヨガの技法だけを行うと
結果的には錯乱した狂人になるでしょう。
ブラフマチャリヤ アヒンサー タパス サントーシャ
デボーションがなければ
クリヤヨガ は あなたの人生を破滅させるだけです。
それでは グルデブの言葉をお聞きください。
OM
ブラフマチャリヤの実践
スワミ・シヴァナンダ著
セクション1この性という驚くべきもの
1.堕落した現代
男性の前には大いなる幻想があります。
それは女性の姿で彼を悩まします。
女性の前には大きな幻想があります。
それは彼女を男性の姿で悩ませます。
アムステルダム、ロンドン、ニューヨークなど、
あなたがどこに行こうとも。
この世界での驚くべき経験を分析してご覧なさい。
セックスとエゴの2つだけが見つかるでしょう。
性本能は、人間の生活の中で最大の衝動です。
性エネルギーまたは性欲は、
人間の最も奥深くに根付く本能です。
性エネルギーは、心、知性、プラナ、感覚、
そして全身を完全に満たしています。
それは人という存在を構成してきた最も古い要素です。
人間には何千もの欲望があります。
中でも中心となる強い欲求は性的欲求です。
この根本的な欲求が、他の仲間の欲求を駆り立てるのです。
すべての欲求が、
この中心的な基本的欲求(性的欲求)にかかっています。
お金への欲望、息子への期待、財産への渇望、
家への願望、牛への購買欲、
その他の欲望は後になってついていきます。
この宇宙創造全体が維持されるために、
神は性的欲求をとてもとても強力にしました。
そうでなければ、
多くのジーヴァンムクタ(輪廻からの解脱者)が
数多くの大学の卒業生のように、
非常に簡単にこの世にいることでしょう。
大学卒業の資格を取得するのは簡単です。
少しのお金、記憶、知性、そして少しの努力が必要なだけです。
しかし、性的衝動を消し去るのは大変な奮闘が必要です。
欲望を完全に根絶して、
心の底からのブラフマチャリヤを確立した者、
彼こそブラフマンまたは神ご自身です。
この世界はセックスとエゴだけから作られています。
エゴ(我)が主なものです。エゴが基礎です。
セックスはエゴによりすがっています。
ヴィチャーラ(探求 洞察)を行い
「私は誰か?」の問いかけによってエゴが破壊された場合、
性的な考えそれ自身もエゴに続いて崩壊するでしょう。
本来は運命の主人であるべき人は、
無知のために神聖なる栄光を失い、
セックスとエゴの奴隷、道具になりました。
セックスとエゴは、
アヴィディヤ(無知)無明から産み出されたものです。
アートマンの二つの敵(セックスとエゴ)、
すなわち、無力、無知、ちっぽけな偽のジヴァ(魂)、
幻である「I(私)」を略奪している二人の武装強盗団を
絶滅させるのは、自己の知識の夜明けなのです。
人は情欲の操り人形になることによって、
自分自身の品位を大いに下げました。
ああ!人々は模倣するただの機械に成り果てました。
人々は識別(ヴィヴェーカ)の力を失いました。
人々は最も救い難い奴隷に落ちぶれてしまったのです。
なんと悲しい状態でしょうか!
なんと嘆かわしい苦境にいるのでしょうか!
もし、あなたが失われた神聖な状態と、
ブラフマンの栄光を取り戻したいと思うのなら、
自分自身の全存在が変容されなければなりません。
崇高な神聖な考えと規則的な瞑想の実践によって、
彼の性的欲求は完全に消滅させなければなりません。
性欲を昇華させることは、永遠の至福を実現するための、
非常に強力で効果的で好ましい方法です。
世界はすべて性的である
世界のあらゆるところを性が統治している。
人々の心は性的な思考で満たされている。
世界はすべて性的です。
全世界は途方もないセックス中毒に侵されています。
世界中の人が倒錯した知性によって惑わされて、
突き動かされています。
神について考える人はいません。神について話す人もいません。
話されるのはいつも、ファッション、レストラン、
ホテル、ディナー、ダンス、レース、映画などです。
彼らの人生は食べ、飲み、そして子供を儲ける。
それだけしかありません。
情欲というものは、ロンドン、パリ、
ラホール(パキスタンの大都市)だけではなく、
新しいファッションをもたらしています。
彼女たちは聖なるターメリックパウダーの代わりに、
チェリーブロッサムパウダーとヘイズラインスノウを顔に塗り、
まるでフランス人のように髪を着飾っています。
このような恥ずべき模倣が、
インドの少年少女たちの心に忍び込んできました。
古代の賢者とリシたちの神聖な受戒と教義は、
完全に無視されています。
なんと嘆かわしいことでしょうか!
ジョンソンまたはラッセルなどの科学者が、
進化論、運動論、原子論、相対性理論、
または超越論によって何かを発見すると、
人々は何であろうと真実として受け入れます。
なんと恥ずべきことでしょうか!
人々の脳は何か異質な異物で詰まっているのです。
彼らには他者から何か良い事柄を吸収する脳がありません。
今日のインドの若い男女の堕落は悲惨なものです。
リキシャー(人力車)、車、路面電車、自転車、
馬車など無しでは短い距離でも歩くことができない、
そんな時代なのです。
なんて酷い不自然な生き物でしょうか!
インドの女性の間では、
ボブカットの髪型が大いに流行り、
インド全体を侵略してしまいました。
これはすべて、情欲と貪欲がもたらした害悪です。
現代の若者は無思慮のまま西洋を模倣していますが、
その結果、彼ら自身の破滅をもたらしています。
人々は欲望に振り回されています。
人々は正義感を捨て、時間や場所の感覚さえ無くしています。
人々は善悪を識別(ヴィヴェーカ)さえしなくなりました。
人々は恥知らずな者になってしまいました。
公開裁判で裁かれる様々な犯罪を紐解いて御覧なさい。
そこには強盗、強姦、誘拐、暴行、殺人などが扱われます。
欲望こそこれらすべての犯罪の根源です。
それはお金に対する欲望、
または肉欲の欲望だったのかもしれません。
人生を彩る、強さ、活力、記憶力、富、
名声、神聖さ、平和、知恵、愛情などと、
人生そのものを欲望はすべて台無しにします。
自慢の知性を持つ人間は、
鳥や動物から教訓を学ぶべきです。
動物でさえ、人よりも自制心があります。
耽溺によって自分自身を大きく堕落させたのは、
いわゆる人間だけです。
性的興奮の熱気で、
彼は同じ下品な行為を、何度も何度も繰り返します。
彼にはこれっぽっちの自制心もありません。
彼は情欲の完全な奴隷です。
彼は情欲の手の中にある操り人形です。
世界中が飢え渇く子供で膨れ上がろうとも、
まるでウサギのように、彼らは無数の子供を産み出します
ライオン、ゾウ、牛、その他の力強い動物たちは、
人間よりも優れた自制心を持っています。
ライオンのカップルは年に一度だけ同居します。
雌が妊娠してからは、生まれた後も子供たちが離乳し、
彼ら自身が健康で強くなるまでは、
雌は雄ライオンが近づくことさえ決して許しません。
自然の法則に違反するのは人間だけです。
その結果として無数の病気に苦しんでいます。
人間は、この点(生殖)だけ見ても、
動物のレベルよりもはるかに低いレベルまで退廃しています。
国宝と臣民、そして軍隊が無ければ王とは呼べないでしょう。
香りが無ければ花とは呼べないでしょう。
水が無ければ川とは言えないでしょう。
そのように、ブラフマチャリヤが無い人は、
人ではありません。
アハラ(食物)、ニドラ(睡眠)、バーヤ(恐怖)、
マイスーナ(性交)は動物と人の両方に共通したものです。
人間と動物を区別するのは、
ダルマ(道徳)、ヴィヴェーカ(識別)、
ヴィチャラシャクティ(熟慮する力)です。
ジュニャーナ(叡智)とヴィチャラ(熟慮)は、
ヴィーリャ(精液)を保存することによってのみ、
揺るぎのないものになります。
もしこれらの資質が備わっていないのであれば、
そのような人は実際のところ、ただの動物にすぎないのです。
この世のすべての快楽の源である欲望が消滅したなら、
心にその土台があるすべての世俗的な束縛も消滅します。
最も有毒な毒でさえ、欲望と比較すると毒とは言えません。
物質的な毒は害を与えるのは肉体だけです。
しかし欲望は、
輪廻転生していく無数の体に害を与え続けるのです。
あなたは情欲と欲望、
感情とあなたを魅惑する事物の奴隷です。
いつになったらこの悲惨な状態から立ち上がるつもりですか?
過去にも、現在にも、災に満ちたこの世の事柄には、
幸福など存在しないという知識があるにもかかわらず、
なお自身の想いにしがみつき、その為身動きできなくなった、
そのような者は、“ロバ”と呼ぶのもはばかれる価値しかない。
もし、あなたがヴィヴェーカ(識別)を持っていないのならば、
自身の魂の救済のために最善を尽くしていないのであれば、
飲み、食い、そして眠るためだけに生きているのであれば、
あなたは地平線上にただ生きる存在であり、
人よりも多くの自己抑制を行っている、先ほどの動物たちから、
多くの教訓を学ぶべきでしょう。