序文
至るところに落ち着きのなさがある。
人々の利己心、貪欲、怒り、欲望が荒れ狂っている。
争い、小競り合い、ささいな口論が大気を汚し、
不和と不調和と不安を生み出している。
ラッパが鳴り、兵士たちは戦場へと進み、敵を殺そうとしている。
ある国は、より多くの領土や力を得るために他国と戦争をしている。
一方で、平和運動は静かに働き、調和と平和をもたらそうとしている。
人間の苦しみの根本原因である無知を取り除き、神聖な知識、
すなわち自己の知識を広め、心に信仰を育てようとしている。
宇宙は神秘であり、さらに神秘的なのは、見えない神の静かな働きである。
神は一方ではラジャス的な人々を戦争へと駆り立て、
他方ではサットヴァ的な人々を平和の拠点へと導き、霊的知識を広め、
苦しむ人類に平和をもたらそうとしている。
人生の目的は、自己実現、すなわち神意識を悟ることである。
アートマン、ブラフマン、至高の自己と呼ばれる、唯一の不滅の原理が存在する。
それはあなたの心の奥に宿っている。
それは過去・現在・未来を超えて存在する。
それは絶対的存在(サット)、絶対的意識(チット)、絶対的至福(アーナンダ)である。
無知な人は、
はかない外的対象の中に幸福や平和を求めるが、
それらは時間・空間・因果に縛られている。
彼の心は安らぐことがない。欲望は満たされない。
富を集め、子をもうけ、地位や名声を得ても、心は落ち着くことがない。
永続する喜びは得られない。
真の満足と永遠の充足は、
自己を悟ることによってのみ得られるのだ。
それは霊的修行、自己抑制、純潔、瞑想を通して達成される。
そしてヨーガの道において最高段階に到達することで得られる。
平和と幸福は、内面においてのみ見出される。
外の対象の中にそれを見出すことは決してできない。
富、女性、子供、財産、豪邸を手に入れても、
あなたに永遠の平和を与えることはできない。
内省しなさい。
あなたの心の奥に住む至高の自己(アートマン)との一体性を悟りなさい。
その一体性を悟るとき、
アートマンこそ平和と至福の大海であることを知るであろう。
いかなる激しい悲しみや喪失、失敗、
不調和や不快な出来事によっても揺るがされることはない。
人生のあらゆる困難や危機を容易に乗り越え、
あらゆる経験を超えてゆくであろう。
アートマンの平安は神秘である。
この平安は素晴らしい。
ヨーガ修行によって、この理解を超えた平安を悟り、自由になりなさい。
この平安の大海に浮かび、
自らの本性である平安の内に喜びなさい。
友よ、なぜあなたは、
失望、失敗、病気、苦しみ、不安に満ちたこの物質的な人生にしがみつくのか。
内なる永遠の生命、大海の奥ぞこへと、深く潜りなさい。
真のカイラスやマナサローワルは、あなたの内にある。
※訳注:カイラス山はチベット高原にある聖山で、シヴァ神の住処とされる。
シヴァはヨーガにおいて至高の意識や解脱を象徴する存在であり、
カイラスはその象徴的中心とされる。
マナサローワル湖 チベット高原(中国・チベット自治区)
標高:約4,500m カイラス山のすぐ近く

喜びの泉、不死の聖なるアムリタ(甘露)の源泉、
甘露の広大な湖、願いを叶える宝は、すべてあなたの内にあるのだ。
このはかない存在とは何か。
それは、魂の中の甘美で永遠の生命と比べれば、
キノコや泡のように儚いものである。
今すぐに、
強い決意と揺るがぬ意志をもって、
内なる平和と至福の無限の世界を探求する霊的な旅に出発しようではないか。
本書『ヨーガへのやさしいステップ』において、
私はヨーガの実践に関する有益な教えをあなたに与える。
修行者の性質や能力に応じて、
この本に示された修行を選び、安全に霊的な道を進み、
より高い段階へと進むことができる。
第7章の特別な教えは、
すべての求道者にとって大いに役立つであろう。
第8章には、アーサナの実践が図解付きで説明されており、
すべての人にとって非常に有益である。
あなた方すべてに、平和と幸福がありますように。
オーム シャンティ シャンティ シャンティヒ